Brody版「黒い羊」MV解説ー武器のダンスシーンを減らしてまで「ハグ」を撮った理由
欅坂46の「黒い羊」はアイドルシーンを驚かせた。意図的にメンバーを避けているカメラ、意味不明なストーリー、象徴的な彼岸花、そして彼女たちの武器であるダンスシーンを減らしてまでのハグ。
今回は新宮監督のインタビュー(brody4月号)を参考にして、解読していこう。
局所でいうと「屋上に上がった時、 平手(友梨奈)さんは一体何をんでいたのか?」というのが話題になっています。
新宮僕は知ってますけど、今回は作り手がそこを説明しないほうが良いなと (笑)
台本のセリフではないんですね。
新宮
平手さんが叫んだのは完全にアドリブです。そもそも、僕は舞台装置と設定を投げているだけで、出演者の演技は ほとんどアドリブです。どうやって動くかの動線や演出内容は秒単位で決まって いますが、表情とか仕京などは演出してないというか、出演者が自分の設定から 自分で考えてわき立ってくるものを大事にしています。
欅坂のmvは、ある程度アドリブが許されているのは知っていたけど舞台装置と設定だけで成り立っているのは驚きだった。
特に平手や小池の表情は、設定だけでできる表情には見えなかったから。
新宮
「サイレントマジョリティー」か ら3年が経って、僕は次の楽曲のムード としては、社会に順応していく僕。の 自点と皮肉が混ざり合う感情をテーマに していくのかなと勝手に想像していまし た。ところが届いた楽曲は想定とかなり 異なっていた。
―どのようになっていた?
完成した「黒い羊」を聴いた時、 僕が全然社会とけ込む気がなかっ たんですよ。むしろこれまでの僕を 究極に自己肯定していて、ひらきなおってすらいる。「サイレントマジョリティ ー」は僕から君に言える曲なんですよね。
ある意味で青臭く周りの人間に主張する。「退い』は、自分から自分。 に訴えてて、対象が、伐。なんです。 ーサイレントマジョリティー」は《君は君らしくやりたいことをやるだけさ。
だけど「黒い羊」は「そうだ、僕だけが いなくなればいいんだ)ですもんね。
サイマジョは、僕から君への曲で「周りの人」へ自分らしくあることを促していた。しかし、「黒い羊」では自分に問いかける曲である。
僕という存在は社会に馴染んでいく気がなく、僕は「黒い羊」でいいんだ。と言い聞かせてて、孤独でも歩いて行けと訴えている。
そもそも「黒とか白とか、なんで始まってしまったのか」という視点から企画を スタートさせました。それは。が他人とぶつかり合う勇気が無いからなんだと。
他人と向き合うには自分が裸になら ないといけないですから。自分に勇気が ないから。で居続けるとね返って ると捉えた。ちょっと僕に対して意地悪な解釈なのかもしれませんが。
ー映像でアンサーを提示した。
新宮
そのつもりです。抱き合うことの 大切さを描きたかった。なのでTAKA HIROさんと抱き合う。ことをテー マにMVを構していきました。
平手さん自身も普段メンバーと感情むき出しでハグすることはあまりないと思う から、ああいうハグをして何か感じるこ とはあったと思うんですよね。ハグをし ていった先に何があるか。僕はそういう舞台を作ろうと思った。
平手さん本人は「この人とは心から抱き合えない」 みたいな役柄の人も中にはいるわけですよ。だけど、一回、抱き合ってみろ」と。 屋上でメンバー以外の人と抱き合ったのはそういう意図があります。
メンバーだけだと、「黒い羊」同士で意味がないですから。だから、大人と抱き合ったときに感じたあなたの顔を出せと。
この「黒い羊」の解説だけのために、ブロディを買ってもいいだろう。
BRODY (ブロディ) 2019年4月号